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大腸ポリープ切除

大腸ポリープ

ポリープは、正確には粘膜や皮膚から飛び出した茎のあるきのこ状の突出を指す用語ですが、一般的には、皮膚や粘膜から飛び出してできているものの総称です。大腸ポリープは、大腸の粘膜にできる突出物の総称で、腫瘍性のもの、非腫瘍性のものにわけることができます。いちばん多いのは、腫瘍性のポリープのうち腺腫です。腺腫自体は良性の腫瘍ですが、放置するとだんだん大きくなることが多く、一定の確率でがん化することが知られています。その他にも平坦なポリープや茎のないポリープなど様々な種類があり、大きさも数mm~20mm以上になるものもあります。
中には放置しても大丈夫なものもありますが、多くのポリープはがん化の可能性もあり、発見された場合、切除しておくことで将来のがん化を予防することができます。
当院では、大腸カメラ検査の際に発見した大腸ポリープを、その場で切除してしまう日帰り手術が可能です。消化器内科と消化器内視鏡の臨床経験を積んだ医師が、最新の高度な内視鏡システムの機能をフルに使いこなして施術を行いますので、安心してご相談ください。

症状

大腸ポリープは、はっきりとした自覚症状があらわれることはありません。ただし、直腸など硬い便が通過する場所にできてある程度大きくなった場合、便がこすれることで出血することがあります。また、便の通過に支障を来すほどに大きくなってしまった場合、腹痛や便秘、下痢といった症状があらわれることもあります。
ただし、症状があらわれるかどうかは、ポリープのできた場所にもよりますので、上記のような症状があったからといって、必ずしもポリープがあるとはかぎらず、また便潜血検査が陽性でも痔によるものであることや、便の軟らかい結腸にポリープがあるケースも考えられます。
そのため、大腸ポリープを発見する確実な方法は、現在のところ大腸カメラ検査だけですので、定期的に大腸カメラ検査を受けることが大切です。

大腸カメラは微小な大腸ポリープや早期大腸癌の発見が可能

大腸カメラ検査は、肛門からスコープを挿入し、いったん最深部の盲腸までスコープを進行させたら、引き抜くようにしながら結腸から直腸へと大腸の粘膜全体を精細に観察していく検査です。大腸内は大きく曲がりながら細かいヒダやシワが多く、その中でポリープや炎症性疾患に特有な病変、がんが疑わしい病変などを見落とし無く観察していきます。
当院では、最新式の内視鏡システムを導入し、時には精細なハイビジョン画像で拡大表示を行ったり、瞬時に通常の照明からヘモグロビンに反応しやすい波長の特殊光に切り替えて粘膜の下の状態を浮き彫りにしたり、画像処理を行って明確化したりすることで、見落としを無くして正確に検査を行うことが可能です。
検査の結果、大腸ポリープが発見された場合、基本的にはその場で切除を行って、将来のがん化を予防しております。切除したポリープは病理検査を行い確定診断に導いています。
大腸カメラ検査では、大腸全域の粘膜を詳細にすみずみまで観察できます。

大腸カメラ検査について
詳しくはこちら

生活の質(QOL)を守る早期発見と治療

2019年の統計では、大腸がんの罹患者数は1970年台の統計とくらべて約7.5倍と大きく増加しています。一方大腸がんによる死亡者数は1970年台の統計とくらべて増加してはいるのですが4.5倍程度と罹患数に比べ増加の程度は少なめに収まっています。これは、近年便潜血検査から大腸カメラ検査へと、大腸がんに関する認識が高まってきたことによる数値の変化と考えることができます。
大腸がんは、早期に発見できれば比較的簡単な内視鏡だけの手術で完治が可能なのですが、一方で早期には自覚症状がほとんど無いため、気づかないうちに進行させてしまい、症状が出て気づいた時には、侵襲や転移なども起こって、大がかりな治療が必要となり、予後も生活に質(QOL)が大きく低下してしまうことにもなりかねません。
大腸がんは、直接粘膜から発症するものも稀にありますが、ほとんどのケースでは大腸ポリープを長年放置することにより、がん化してしまったものが多くなっています。
大腸がんの発症は50歳になると急に増えていきます。しかしその前がん病変である大腸ポリープは40歳代から急に発症が増えると言われています。
そのため、一般的には40歳になったら定期的に大腸カメラ検査を受診することが推奨されています。

大腸ポリープ切除のメリット

大腸ポリープ自体は良性の腫瘍です。だからといって、放置して何年か経つと一定の確率でがん化することがわかっています。そのため大腸ポリープは前がん病変と言われており、みつけたら切除しておくことで、将来のがん化を未然に防ぐことができる、がんの予防的処置となるのです。
大腸カメラ検査のスコープは、カメラと照明が付いているだけではなく、細く小さな先端には、スネアと呼ばれる投げ縄のような形をした高周波メスや鉗子などが用意されています。このスネアをつかって、ポリープを切除することができます。その上で切除したポリープは病理検査を行い、確定診断に繋げることになります。
つまり、大腸カメラ検査は、たった1日の検査で、病変の発見、診断、治療ができるだけではなく、予防までもできてしまうことになります。
ただし、ポリープが一定以上に大きい場合や、数が多い場合は出血などのリスクを考慮して、数日入院して処置を行う必要がありますので、その場合は連携する入院設備のある医療機関を紹介しています。

ポリープ切除に用いられる手法

ポリペクトミー

茎のある大腸ポリープを切除する際の基本的な手法です。スコープの先端から投げ縄状のスネアと呼ばれる高周波メスを出して、ポリープの茎にかけ締め付けて、電流を通して高周波でポリープを焼き切ります。高周波による止血効果はありますが、高周波によって下部組織へダメージを与えることによって出血や穿孔が起こる可能性があります。次に説明するコールドポリペクトミーの手法が使えない10mm以上の大きなポリープ切除で行う手法です。

コールドポリペクトミー

スネアをポリープの茎にかけて、締め付け、そのまま電流を通さず扼除する方法です。大きさが10mm以下の比較的小さなポリープの切除で用いる方法です。下部組織へダメージを与えないため、術後の出血や穿孔といった合併症のリスクがほとんどありません。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

茎のないポリープや早期の大腸がんの切除に用いる手法です。茎がないポリープにはスネアをかけられないため、病変の下部に生理食塩水を注入し、ポリープを浮かせて人工的に茎をつくり、そこにスネアをかけて電流を通し焼き切ります。生理食塩水がバリアになって下部組織にダメージを与えることなく安全に切除を行うことができます。

切除後の注意点

大腸カメラ検査中の大腸ポリープ切除は、日帰り手術として受けられる低侵襲の手術です。しかし、腸の粘膜にまったく創がつかないわけではありませんので、術後の出血や穿孔といった合併症を避けるため、しばらくの間生活上一定の制限を守っていただく必要があります。
内容は、切除の方法やポリープの数、大きさなどで患者様によって異なりますので、詳しくは術後、個別に説明しますが、食事(刺激物や飲酒を含む)、運動、入浴などに関して数日から1週間程度の注意事項があります。また長距離移動をされた場合、万一合併症が起こった場合に適切に対応できない可能性がありますので、出張、ご旅行について術後1週間は控えていただく必要があります。特に飛行機での移動は、気圧の変化によって出血リスクが増します。

入浴

切除当日の入浴は控え、軽いシャワー程度に留めてください。翌日からは入浴も可能になります。ただし、身体を温めすぎると出血リスクは高まります。1週間程度はさっと温まる程度の「からすの行水」にとどめてください。

食事

当日から普通食で大丈夫ですが、消化の良いものを中心に、脂質の多いたべものや香辛料などの刺激物は避けるようにしてください。

飲酒

お酒は、医師から許可がでるまで控えてください。

運動

翌日からは軽い散歩程度でしたら可能です。しかし、筋トレやスクワットといった腹圧がかかるような運動は1週間程度控えてください。また競技スポーツ等は内容などによって再開できる時期に差があります。医師とよく相談してから再開するようにしてください。

旅行・出張

長距離の移動や長時間の運転などは、かなり腸へ負担をかけることになります。特に飛行機による移動は気圧の変化によって出血リスクが増大します。また移動先によっては、合併症があらわれた際、適切な処置がとれない危険性もあります。これらの理由によって、術後1週間は出張、ご旅行などを控えていただいております。