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下痢

下痢でお困りではありませんか?

下痢とは便の水分が異常に増えて、水のような状態で何度も排泄されることを言います。症状としては、腹痛を伴うこともありますが、お腹が張ってトイレにいくと、特に腹痛もなく水様の便が出ることもあります。誰もが時に苦しむことのあるポピュラーなお腹の症状の一つです。
食べ過ぎや飲み過ぎといった、はっきり原因がわかっている一過性の下痢であればそれほど心配することはないのですが、下痢が長く続く場合や、下痢と便秘を繰り返すようなケースでは裏になんらかの疾患が隠れている可能性もありますので、一度消化器内科を受診してください。

こんな症状の方は特に注意!

  • かつてないほどの激しい下痢
  • 高熱、ひどい腹痛を伴っている下痢
  • 吐き気や嘔吐を伴っている下痢
  • どんどんひどくなってくる、同じ状態が続いて良くならない下痢
  • 排便しても腹痛が続く
  • 下痢便に血液が混じっている
  • のどがひどく渇き、尿が少なくなっている、といった脱水を伴う下痢
  • 同じ食事をした人も同様の症状がある

これらの症状が一つでも当てはまる方は、すみやかに医療機関を受診してください。特に脱水の上、嘔吐などで水分補給ができない場合は危険ですので救急対応も含めて受診してください。

下痢について医師が解説

通常、人が食物や飲料から摂取する水分と胃腸で分泌される水分などを合わせると、かなり多くの水分が消化管を通過することになります。そのうち8割程度は小腸で吸収され、残りが大腸でほとんど吸収され、排泄される便に含まれる水分は、100mL程度まで減少します。通常の健康な便に含まれる水分は6~7割、8割を超えると軟便となり、9割を超えるといわゆる下痢便(水様便)になります。
下痢が起こるのは、便の通過が早すぎて水分がしっかりと吸収されない、腸からの水分の分泌が増えてしまった、腸が機能的に水分を吸収しにくくなっているなどの原因によります。
なんらかの要因で急激に下痢が発症し2週間以内で治まるものを急性下痢、4週間以上続くものを慢性下痢と分類しています。

下痢の種類

浸透圧性下痢:日常生活が原因のひとつ

腸の機能が低下して、うまく水分を吸収できないために便中に水分が増えておこる下痢です。暴飲暴食、脂っこいものを摂り過ぎる、お酒の飲み過ぎなどが原因となります。

蠕動運動性下痢:過敏性腸症候群

消化管には蠕動運動という機能があり、食べた物を肛門方向に向かって送っていく働きをしています。腸でこの蠕動運動の機能が何らかの原因で亢進されてしまうと、水分が吸収されないまま便が送りだされてしまい、水分の多い下痢便となります。ホルモンの影響やストレスなどからくる自律神経の影響で発症することがあります。過敏性腸症候群が代表的です。

滲出性下痢:潰瘍性大腸炎やクローン病

炎症によって、腸の粘膜から細胞内の液体や血液成分がしみ出して、便の水分量が増え下痢になります。炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎やクローン病などが代表的な例です。

その下痢は過敏性腸症候群(IBS)かも

腹痛があって下痢が起こり、排便するとある程度症状が改善する、または腹痛があって下痢と便秘を繰り返すといった症状が長く続いていて、受診し検査をしてもとくに腸や内分泌機能などに悪いところは見受けられないといった時は、過敏性腸症候群が疑われます。
過敏性腸症候群はIBSとも言い、大腸の蠕動運動などの運動機能や、痛みを感じるなどの知覚機能が何らかの理由で障害されてしまっていることが原因と考えられています。
過敏性腸症候群は便秘型、下痢型、混合型、分類不能型の4つに分類されますが、下痢と関連性の高いのが下痢型と混合型で、混合型は下痢と便秘を交互に繰り返します。
よく朝の通勤電車でお腹が痛くなってしまうケースや、発表などの登壇前、テスト前などでトイレに行きたくなってしまうケースなどがその典型例です。
原因は腸の機能障害ですが、強いストレスや緊張など精神的な要因も大きく関連しています。これは脳と腸の間を取り持つ自律神経が、ストレスなどによってバランスを崩してしまうことによると考えられています。
診断は問診のほか、血液検査、X線検査、大腸カメラ検査、腹部超音波検査などで、他のはっきりした器質的、内分泌的、全身性の疾患がないことを確認していく除外診断で行います。
薬物療法で比較的症状は治まりやすいのですが、そのままでは再発を繰り返しやすいため、生活習慣の改善や、ストレスを発散する方法などの指導を行い、精神的・身体的に大きな負荷がかからないようにしていきます。

過敏性腸症候群について

当院の下痢の治療

下痢はお腹の不調で良くある症状の1つですが、ちょっとした食あたりや暴飲暴食によるものなど、ほとんど心配のないものから、クローン病や潰瘍性大腸炎といった難病、大腸がんなどの重篤な疾患、食中毒といった様々な原因が考えられます。
そのため、下痢で来院された方に対しては、その原因をはっきりと突き止めるために、問診や触診の他、大腸カメラ検査を含めて、様々な検査を行うことになります。
また、治療法も原因によって異なり、たとえば感染性の急性下痢などでは、止瀉薬を使うとかえって病原体が体外に排出されるのを遅らせてしまうのに対し、過敏性腸症候群の下痢は薬で安定させることでストレスも低下し症状が和らぐこともあります。
当院では医師が、豊富な臨床経験をもとに、必要な検査を行い、それぞれの患者様に最適の治療を提案していきますので、お困りの方はいつでもご相談ください。

よくある質問

急に下痢症状がおこりましたが、新型コロナの感染が心配です

確かに新型コロナウイルス感染症の症状として下痢も報告されていますが、その数はあまり多くなく、一般的な症状ではありません。

下痢の際、食事はどのようなことに気をつけたらよいですか

腸にあまり負担をかけない食物を中心にして、腸管の安静を保つようにします。たとえば、ほうれん草、キャベツ、ニンジン、ジャガイモといった野菜類をしっかりと煮るなどして柔らかくしたもの、たんぱく質では豆腐などの大豆たんぱく、鶏のむねやささ身、白身魚などを固まりではなく、小さく切って消化に負担がかからないような調理法で調理したものが良いでしょう。
反対に脂肪分の多い肉類、食物繊維が多いキノコ、海藻などは腸に負担をかけるため避けたほうが良いでしょう。

市販の下痢止めを飲んでも大丈夫ですか?

市販の止瀉薬も効果の高いシャープな薬が開発されているため、過敏性腸症候群などで急激に症状があらわれ、通院に間に合わないようなケースでは効き目がある場合もあります。
しかし、感染性の胃腸炎などの場合、医師の判断無く、下痢止めを使うとかえって治癒を遅くしてしまうようなこともあります。やはり医師の処方した薬を服用する方が安全でしょう。